大和方言である「トッキョリ(時折)である晴(はれ)の伝統的スローフードについて思う処を少し記す。
自然の滋味を感じ、その懐かしさを感じられるのがスローフードである伝統的食文化。歴史や文化を感じさせる奈良大和らしさにこだわった、スローフードを広い視点から発掘・商品開発することである。21世紀の課題は、おいしい素材でいかにその魅力を伝えるか、「はずれ無しのここだけ・あなただけ」の食を提供できるか。いいとこメガネを持ち、いかに独創的な発想ができるかであろう。
例えば、和菓子・洋菓子を問わずスイーツは老人・若者、男女問わず多くの人々を魅了する。菓子は嗜好品であるが「甘味は幸せを与える幸せの象徴」で、希求してやまない習性の上に成り立つものと考える。
だから神仏の神饌・御供や儀式に必要なのであり、糖分やエネルギーを補給する間食行為は子供だけのものでは無く、大人を対象とする習慣なのだ。奈良大和のアイやトッキョリの「間水」は理に適っているのである。
伝統行事に縁のある菓子を大和の食材を生かして、取って置きのものに仕上げること。即ちストーリーを織り込んだ名物づくり、歴史を感じる旬菜菓子・祭事菓子・郷土菓子の創作である。
商品はブランド化を計り、タウン情報誌始め活字紙媒体に加え販売方としての新サービスルートづくりやメディアネット販路のweb媒体サイトを活用したネットワークづくりも求められるのではあるまいか。パッケージは独自の訴求ポイントとなり、キャッチコピーも重要である。一案すれば“奈良大和各地にうまいものあり 笑顔あり”“ええもんほんまもんの奈良大和はおもろい處”である。
奈良大和路ものを扱った書籍類を挙げれば、 (1)佐藤紅編(2010)『奈良おみやげ手帳』95pp京都:光村推古書院、(2)佐藤徳久編(2011)『奈良のパンスイーツ和スイーツ』111pp奈良:(株)エヌ・アイ・プランニングがあり、近年(3)佐藤詢市編(2016)『奈良のおいしい手みあげ』65pp東京:プレミア・ワーズの刊行 を見たが奈良のお菓子は貧弱だ。筆者が以前調査した十分の一も紹介されていないに加え手土産にならないものもまた多い。
また近年は行政や産学官連携によって、(4)奈良県産業振興総合センター商業・サービス産業課(2014)「Gift from NARA 奈良の贈り物」14pp、(5)生駒市のお薦めのお土産実行委員会(2014)「食べたい贈りたい いこまの逸品」グルメ版パンフレット、(6)橿原みやげ物発掘協議会(2014)「地元っ子おすすめ!橿原みやげ物マップ」パンフレット (7)椿井小学校子育てネットワーク(2017)「まいならガイド~お土産編~」などの刊行があるが地域の逸品どころか全くの物語性に乏しいと言わざるおえない。(拙稿『奈良大和の食文化を考える』2015/3/14抜粋加筆)
【freelance鵤書林108 いっこう記】
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