奈良大和路の和スイーツ類に見る、いっこう県内名産品調査結果2014を公開する事とする。
茶の湯文化発祥の地大和(奈良県)であるが、飲茶の習慣と共に花開いたのが上菓子(上納菓子・献上菓子)である。お茶の友和菓子の美味名物、茶席の上菓子から神饌御供菓子・門前名物にこだわって集成した。
地域設定は先述のエリアに対応させている。おはぎ・ぼた餅・大福・常用饅・赤飯・みたらし・かき餅等のみを扱う、所謂「おまんや」店舗は省略し、意匠や物語性・製作性・味を認めない物も除き、「国宝級●重文級◎県指級〇市指級△」に独断で分類した(岸田朝子2014文献・全国区は8店▽)。土産品として製造販売されている菓子は含めた(複数店舗会社展開店◇)。
ほぼ百店舗を越す数を集成する事が出来たが三割が郡山を含めた奈良市域である事が確認される。他地域に本店の菓子屋の支店を奈良に置く場合を含めると半数に上る。ここでは、支店や奈良本店と称するものは本屋の所在地に含めている。
いずれにしても、上菓子オリジナルは希少で、多くは同名同仕様の菓子と餅・団子「もちや・だんごや」である。
ア.奈良・郡山エリア
01みよしの〇(葛焼き)・香ばし小種△(米粉蜜付煎餅)・饅頭蒸し△〔萬御菓子誂處樫舎かしや/奈良市中院町(春日社・薬師寺御用)〕
02庚申さん〇・奈良町だんご△・沙羅の華〇・朧月夜〇・天平の鈴〇・南無観椿◎・黄熟の香△・幻の絹△・はな鹿格子〇(干菓子)〔寧楽菓子司なかにし・中西与三郎/奈良市脇戸町〕
03ぶと饅頭(春日神饌餢飳)●・微笑〇(和三盆)・青丹よし〇・糊こぼし◎・牡鹿△(栗饅頭)・もっとの△・弓月△(ゆづき・黄粉)〔萬々堂通則/奈良市橋本町〕▽
04元祖青丹よし◎(干菓子)・献上三笠△・開山良弁椿◎・はくろく〇(最中)・御苑曲水の宴〇・奈良香△〔御菓子司鶴屋徳満/奈良市下御門町〕▽◇
05野守の鏡◎(白餡味噌挟み春日社菓子)・火打焼〇・青丹よし〇・南都七大寺の瓦△(干菓子)・奈良饅頭△(三笠)・神鹿△・古瓦〇・御堂椿△〔御菓子司千代の舎竹村/奈良市東向南町〕▽◇
06乳菓古代瓦饅頭◎・わらび餅〇・梅蘂〇・あんじゅ△・羅漢とり△・三笠△(三笠宮殿下賞)・吉野本生葛餅△・古代瓦最中△・古代瓦サブレ△〔梅御菓子處千壽庵吉宗奈良総本店/奈良市押上町〕◇
07花びら餅◎・青丹よし〇・春日△・高円山△・三笠×・かくれ柿△(シホンケーキ)〔御菓子司萬勝堂/奈良市東向南町〕
08大納言清澄△(きんつば)・寛永傳△・九房露△(ソバボウロ)・黒豆茶羊羹△・まろのおみた△(京のみたらし小餅)〔京菓子奈良寛永堂本店・古都可美しの里奈良小鹿/奈良市東向中町〕◇
09大和餅〇(名代城戸の復刻)・春の野△〔大和風詠菓萬春堂本店/奈良市三条栄町〕
10特大みかさ焼〇〔湖月/奈良市東向中町〕廃業
11柿寿賀〇〔総本店柿寿賀/奈良市高畑町〕
12花祭〇〔御菓子司とらや/奈良市鶴福院町〕
13くず餅小豆〇・手作りみそせんべい△・天平瓦△(瓦煎餅)・平城焼△・奈良めぐり△(芋餡一口饅)・ホリデークッキー△・鹿サブレ△〔横田福栄堂/奈良市二条町〕▽◇
14大佛せんべい〇・栗入わらび餅△〔岡崎松光堂/奈良市紀寺町下清水〕
15桜餅△〔花仙堂/奈良市押熊町〕◇
16里の香〇(手焼き煎餅)〔創業嘉永貮年播彦/奈良市小西町〕
17校倉クーヘン〇〔ラ・ポーズ/奈良市芝辻〕
18しかの角バームクーヘン〇・大和茶入ばぁーむくぅへん△〔鹿野/奈良市油阪地方町〕
19五重塔バウム〇・らほつ饅頭△・桜くっきいシルクロードの華△・香りのおだんご△〔奈良祥樂/奈良市学園北〕◇
20意傳坊◎(春日神饌好み居傳坊復刻)〔菊水楼/奈良市高畑町〕
21相伝甘口辛口・白眉みたらし団子〇(一串五個)〔傳統御菓子處おくた/奈良市西寺林町〕◇
22きなこ団子〇(一串五個)〔たまうさぎ/奈良市尼ヶ辻西町〕
23みやけの梅の香△・桃山饅頭〇〔みやけ旧鴻池邸表門/奈良市鳥見町〕
24奈良大和鹿饅頭△・奈良大和路△(栗きんつば)・NARAふうわりメープル△(カスタードロール)・せんとくんバターチョコクッキー△〔匠樂HSK/奈良市大安寺町〕◇
25奈良ごま餅△・しかまろくんの初恋△・奈良ひとくちバーム△・奈良チーズケーキ△・奈良抹茶ケーキ△(シホン)・和ならべ△・奈良焼きほろろ△(クッキー)〔菓匠前田製菓KI/奈良市東紀寺町〕◇
26大仏餅△・奈良和らんぐ〇(和洋折中)〔多口製菓/奈良市法華寺町〕◇
27御城之口餅●・菊の寿〇・南都七大寺〇・つつみ小菊△(干菓子)〔本家菊屋/大和郡山市柳町〕▽◇
28十五万石もなか△〔小杉屋/大和郡山市柳町〕
29源九郎餅〇〔中嶋源九郎餅本舗/大和郡山市新紺屋町〕
30本干柿〇(干し柿に柿餡)〔御菓子司杉屋菓舗/大和郡山市西岡町〕
(初出典:拙稿『奈良大和の食文化を考える』2015/3/14)
【freelance鵤書林122 いっこう記】
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