御所柿(ごせがき) 奈良斑鳩の里新名産品2

   

 大和御所原産の在来の幻柿。「御所柿なくば日本の甘柿なし」と言われる様に本来柿は完全渋(学術名ディオスピーロス・カキ:神から与えられた食物)の完全甘柿の原種柿である。

 近世の平瀬徹斎、長谷川光信画『日本山海名所図會』(宝暦4 1754)や人見必大『本朝食鑑』(元禄10 1697)などに全国特産品に紹介列記されている。

 今日、他方で「ごせ」の名が誤説・誤読され、多く流布の改良優良商品「花ごしょ五所柿」などと呼ばれる平柿がある(ごせの地名の起こりは神奈備の御室山に由来し、御諸→御所に転化)。

 往古、大和一圓で栽培され極上柿として宮中・幕府に献上、柿好きの正岡子規明治28年10月26日對山楼・角定で食した月ヶ瀬の柿もこの柿(親友の夏目漱石「鐘つけば銀杏散るなり建長寺」に倣って「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」を詠んだ。この日10月26日を全国果樹研究連合会「柿の日」2005制定)。

 柿は漢方薬効のTannin・βクリプトキサンテン・VitaminCを多く含み身体ケア能力のある万能果実でり、御所柿は昔懐かしい味を伝える。

[鵤書林2015謹製]

【freelance鵤書林87 いっこう記】

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