最古の厄除霊場と参詣道J-3

うぐいす鳴く珍なる山里―

大字白石畑

 矢田丘陵(標高250m前後)に所在の〝うぐいすの鳴く里山〟、斑鳩町大字白石畑(戸数19軒+平群町属6軒。北・東・南垣内の散村)がある。村は長らく「興留村属白石畑」(枝郷『大和志』)。法隆寺駅在所の興留村飛び地(富郷村属)で、明治20年の飛び地交換で法隆寺村属になった。

 しかし今も村内が生駒郡斑鳩町と生駒郡平群町の両行政に属する珍なる山里である(古くは延宝6(1678)年京都奉行所に訴えた(「乍恐謹而言上」『向山文書』)のを始め、明治5年の戸籍編成時の示談など再三に及ぶが合併話は一向に成立しなかった経緯を持つ。

 鎮守は、北垣内の素佐之男神社(祀神素戔嗚命)の牛頭天王社(地元では今も八坂社と呼ばれている。神宮寺に医王寺があったと云う)。里寺は、安楽寺(公民館同居)と西法寺である。寺前の大師堂・地蔵・六字名号碑、墓地の六地蔵、一本木勧請縄場など山里の石造物・散村屋敷構え・大和棟屋敷・谷水田などのまとまりは中近世的隠れ里歴史的空間を残す

 元々、松尾寺の膝元村落としての関係を持ち、中世後期には信貴山城と対峙した椿井城・三里城・上庄城などへの連絡路・平群谷方面への抜け道・松尾寺への参詣道五道結節の位置にあたる。珍なる山里の元をただせば、字分断は松平領の飛び地関係から発している事なのである。

 近年〝白石畑公園・法隆寺古事の森(国有林2箇所に建造物修理に必要檜を数百年かけ育てる事業)〟も出来、現在の斑鳩ミステリーゾーンとも言える存在で、大和盆地南半部の眺望は素晴らしい

【freelance鵤書林233 いっこうJ3記】

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