法隆寺・法輪寺所用瓦登窯―
国史跡三井瓦窯址
塚原農園の元葡萄畑の中に小屋のような覆屋で遺構が保存されているのが昭和6年、山林を葡萄畑に開墾中発見、12月に調査・昭和7年4月に国の史跡指定を受けた「三井瓦窯址」である。我が国の古代瓦窯の発見調査例としては、画期的な出来事であった。
窯は、丘陵中腹西斜面に築いた〝有段式登り窯(窑窯)〟で焚口・火床・窯部から成る。全長4.9m・現存高3.8mで天井と側壁とは自然なアーチ形を構成し、最大径1.8m。一段部の天井高さ1.3m・径1.6m、40度の勾配をもって高くなってゆく。焚口・火床一段目の段差は0.79m・二段から現存十段まで0.46~0.36m、九段目付近の幅は1.0m。窯外から白鳳期の法隆寺式複弁八葉蓮華文瓦が出土し、再建法隆寺・法輪寺の軒瓦・丸平瓦を焼いた窯であることが判明している。
許可が無い限り中には入れないが、覗き窓から内部を伺い知ることが出来る。尚、この斜面に複数の瓦窯址・工房や粘土取址が大規模に埋没していると容易に推測出来る。文献:岸熊吉「三井窯址及び額田部窯址調査報告」奈良県史蹟名勝天然記念物調査報告第13冊 1935・『史跡三井瓦窯跡発掘調査報告書』斑鳩町文化財調査報告16集 2017
【freelance鵤書林225 いっこうH2記】
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