聖徳太子の隠れ聖蹟といかるがの里E-2

弘法掘削500番目の井戸―

別称業平姿見井と日切地蔵と五百井村の一本木

 人知れず存在の井戸こそ五百井村の入り口・出垣内にある弘法大師(俗説では聖徳太子)500番目掘削の井戸(「いほのい」)一本木継子伝説の「日切地蔵尊」である。

 井戸は、斑鳩の業平道伝説から何時しか『伊勢物語』23段記載の「業平河内通い」の〝業平姿見の井戸〟とも呼ばれている。石囲みのある石積井で今も水を湛える。由緒正しき井戸、防災時に繋がる保存活用策も必要だろう。

 一本木とは村はずれ(村の入り口が多い)に神を表象された一本の大木(榎:大和では「ヨノミの木」と呼ぶ)「野神のがみ・のおがみ」(:農村の民間土俗信仰)が祀られている。

 近年落ち葉を撒き散らすなどの理由で伐採され、痛々しい株を曝している。東里の七条六里十坪のヨノミの立木は〝神ノ木〟と呼ばれるが一本木で野神であるのは明白(阿波・湯田(夢)森の野椎社(のづちしゃ)、興留北垣内にあった傘形榎と祠なども野神を祀った一本木)。すでに斑鳩ではその習俗は早くに消滅し、意義も完全に住民意識から消え去ったと思われる。

 一方地蔵は、幕末期(伝丹波佐吉・無理がある)のもので西の街道筋にあったものを移転したと言い、伝説は極楽寺の継子地蔵(永正5(1521)銘地蔵菩薩立像)が増幅拡散転訛したと容易に考えられる。〝日切〟とは太陽のお日様のことだろうが、斑鳩の伝統習俗「日待講」と関係するのだろう。文献:『奈良県の祭り・行事』奈良県祭り行事調査報告書2009

【freelance鵤書林210 いっこうE2記】

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