旧中宮寺と鎮守秋葉神社―
幸前にある二つの社・秦幸隆の「幸隆寺」
富郷村の役場が置かれていた在所の〝幸前(こうぜん)〟には、鎮守社「幸前神社」と「秋葉神社」の二つの社がある。秋葉社は中世まで存在した旧中宮尼寺鎮守の遺構である。中宮寺東北、杉の大木のあった溜池の南堤に位置する。玉垣に囲まれた春日造一間社の宮は、無格社で〝火産霊尊〟を祀るが沿革は不詳。安永4年銘「幸前村中」・安政11年銘「郡山柳5丁油屋」寄進燈籠が確認出来る。
幸前社は秋葉社の西北、道を隔てて鎮座し、旧村社で素戔嗚命を祀る牛頭天王社である。春日一間社檜皮葺き朱塗である。左方に大神宮社・春日社の銅板葺き摂社がある。拝殿は瓦葺きで〝奉納日清戦争大絵馬〟を見る事が出来る。弘化4年銘狛犬・寶永4年・享保4年銘燈籠が確認される。秦河勝一族の〝秦幸隆〟が創建したとする「幸隆寺」という神宮寺(幸隆寺前の村:幸前)があったが、今は移転して融通念仏宗になって公民館として使用されている。運がよければ観音・勢至菩薩の脇侍を伴った阿弥陀如来半跏像を拝観できる。薬師如来坐像・僧形坐像は、元薬師堂の本尊である。近代のものだが、自然石浮彫の〝役行者小角像〟も見られる。
【freelance鵤書林162 いっこうC4記】
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