奈良大和路“振り返れば未来”

 第3次安倍晋三内閣は2015年10月、一億総活躍社会を掲げ全員参加型社会の社会的包摂を目指すと言う。

 我が国は高度経済成長期以降、七割の人々が地方を捨て首都圏に集中移住し、日本人の生活文化と共に意識が変化した。住民の高齢化比率の上昇に伴い限界集落は全国400箇所にのぼり、昨2014年5月の「日本創成会議人口減少問題検討分科会(座長増田寛也・元総務相)発表によると消滅可能性自治体は全国896、39市町村の奈良県でも奈良・生駒・斑鳩・三郷・王寺・香芝・葛城・広陵・田原本・三宅・橿原・桜井・天理を除いた26町村(ワースト2位川上村)に達する。

 極限に近づいた今、いろんな智恵と確信(核心・革新)者の力の結集が求められる。地方創生実現の国策としての総合戦略、2014年11月公布「まち・ひと・しごと創生法」第一条には地域社会を支える多用な人材の確保が重要だと明記し、人材・資金のマネージメントと「人・もの・金」の循環が必要とする。

 昔から「農村の豊かさで国が栄える」の確言があるが、現代の日本はどうであろうか。「地域資源活用推進法」で農林水産の地域資源(産地の技術・観光資源含む)の掘り起し、地域活性が叫ばれ特産品開発ばかりが強調されるが、「住んでよし・訪れてよしのまちづくりの智慧」が求められるのであって、それは21世紀の資源である。

 地域創生化は、ビジネス媒体のモデルが必要で、ビジネスモデルは、アピール性として情報誌に取り上げられる事も重要であろう。

 で言うならば、「食を学ぶ・食を教える・食を支える」のイタリアの「スローフード運動」✤に学ぶ必要がある様に思う。我が国農業・林業の復権は安全安心の地方を創生させ、エネルギー資源の活用した産業再生は、地域経済を変えると思われる。

 農山村の1・2・3次産業を統合した成長戦略の6次産業化を計り、自らで自らが参加型産業を起こす事が求められており、自立的地域経済化に進む日本でなければ創生は無理であろうし、経済効果を生む地域づくりでなければならないだろう。〝振り返れば未来!〟

✤ (1)宗田好史(2009)「イタリアの食、地域を拓く美食の時代へ」『季刊まちづくり』23 特集食の地域づくり 54-57p京都:学芸出版社、(2)宗田好史(2012)『なぜイタリアの村は美しく元気なのか』239pp京都:学芸出版社

 (初出典:拙稿『奈良大和の食文化を考える』2015/3/14から)

【freelance鵤書林130 いっこう記】

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