食が脚光をあびて注目されたのが伝統野菜で、1987年ブランド化に取り組んだ京都府(37品目)にあやかって、2005年「なにわの伝統野菜認証制度」を始めた大阪府(17品目)に歩調を合わせ、県農業水産振興課が学識経験者と2005年に10品目を認定して以来増やされてきたが、認知度や生産力が追い付いていない現状はいなめない。
甲:大和の伝統野菜18+2種:「戦前から奈良県内での生産が確認されている品目。地域の歴史・文化を受け継いだ独特の栽培方法により「味、香り、形態、来歴」などに特徴をもつもの。」とする。毎回増やされ3品が追加されている。
1.大和まな(漬菜類) 2.千筋みずな(裏作菜・ハリハリ具材) 3.結崎ネブカ(結崎の観世能発祥説話による葱) 4.大和きくな(中大葉系の菜) 5.下北まな×(下北山村の自家漬菜・めはりずしの具) 6.軟白ずいき(白ずいき) 7.花みょうが×(薬味・漬物用) 8.ひもとうがらし(辛唐辛子としし唐の雑種) 9.紫とうがらし(自家甘味唐辛子) 10.大和三尺きゅうり×(奈良漬用) 11.黄金まくわ(初夏の黄まっか) 12.大和丸なす(刺のある丸茄子) 13.宇陀金ごぼう×(雲母バイラン土で生産) 14.祝だいこん(正月用の細大根) 15.小しょうが×(小ぶり生姜・冬に芋穴保存) 16.片平あかね×(赤細長蕪) 17.筒井れんこん(蓮池の蓮根) 18.大和いも×(つくね薯郡) 19.味間いも(里芋) 20.黒滝白きゅうり×。
乙:大和のこだわり野菜5+(3)種:「栽培や収穫出荷に手間をかけて栄養やおいしさを増した野菜や奈良県オリジナルの野菜など」とする。一品増やされ一品削除している。
1.大和ふとねぎ× 2.大和完熟ほうれん草× 3.半白きゅうり(白胡瓜) 4.香りごぼう(牛蒡) 5.朝採り野菜〔レタス・なす・きゅうり(青胡瓜)〕。
大和野菜は、「奈良県の特産品として特徴をアピールできる大和の伝統野菜と大和のこだわり野菜」とする。しかし、黄まっかの「黄金まくわ」は、昔は果物として果物屋で取り扱われていたものだ。全く料理具材には使われない物で、八百屋で売られたのは所謂「青まっか」であった事など認識不足や文化の伝承の断絶の一例だ。(西大和の非栽培×)
(初出典:拙稿『奈良大和の食文化を考える2015/3/14』)
【freelance鵤書林128 いっこう記】
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