伝統果実いちぢく(無花果)の事

―大和片桐・南河内誉田名産

   「無花果」と書く〝いちぢくは〟、大和片桐の小泉地域や河内誉田周辺のグロ水田畑で生産を見る。鮮度が落ちやすく保存しにくいデリケートな果実なので一時期から比べると生産量は激減したが、農業研究開発センターがテコ入れした事も有り密に盛り上がりを見せる。健康と美容高価も高い優しい夏の味覚として女性を中心に人気である。

    亜剌比亜南部が原産地とされ、6千年以上前からMesopotamiaで栽培されていた事が知られ世界最古の栽培果実ではないかとも云われている。旧約聖書にアダムとイブの希臘神話に登場し、欧羅巴では古くから親しまれている。〝イチヂク〟の名の由来は波斯語で「インジクオー」と呼ばれると云い、我が国では「一日で熟す」と解されている。

   花の無い果実と思われているが、内の種の様に見える粒々実が花で実と称して花を食しているのである。受粉して実が成るのでは無く、新芽の延びた枝に下から上へと順に熟す事からも頷ける。

    酒を飲んだ後に食すと二日酔いになりにくいと昔から云い、高い栄養価と数々の薬効が有るとされる事から中国では不老長寿の果物である。我が国へは江戸期に薬用として伝来したとされる。

    辞書によると食物繊維をはじめ、kalium・calciumなどのmineralとVitamin類をバランス良く含んでおり、水溶性のpectinが林檎やオレンジの2倍以上あり、腸の働きを活発化し有害物質を排出させて腸内環境を整えるので、便秘の改善や免疫力を高める効果絶大とする。当然cholesterolを下げたり血糖値を安定させる効用も含まれる。

    ふっくらと先端が割れた十分に熟れた朝採りのものが最高である。皮が堅い少々未熟なものは、皮を剝いてWhite Wineが無くとも砂糖と檸檬(代用:ポッカレモン)を加えてさっと煮て冷やした〝コンポート〟は一味しゃれた夏のデザートとして楽しめる。生食用に適さないものは、煮詰めて〝ジャム〟にすれば長期間の保存が利く。天日干した〝干し無花果〟にすれば鉄分・糖分・calciumが増すと云い、刻んでヨーグルトやシリアルに混ぜるのも良いかも知れない。

    堅下一光園は無農薬・NOワックスで、七月中旬から九月迄生食用・コンポート用が販売され、九月以降十一月迄ジャム用が頒布されている。令和3年度から大和郡山市の生産組合においては、〝乾燥チップス無花果〟に加え〝無花果の一滴Ichijiku Wine〟が10数か所の特約店で限定発売を見ている。

【freelance鵤書林265 2021/7/3いっこう記】

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