生駒山寶山寺多寶塔(いっこう寺社解説29)


―大和の現世利益のお寺7・

西国愛染明王霊場14番札所

   生駒聖天・宝山寺の多宝塔と本尊は平成6年、愛染曼荼羅にちなむ十七ケ寺に加盟し14番札所になっている。佛塔古寺十八尊巡拝15番札所でもある。多宝塔の建つ高台は、開山堪海律師が禅修行の常楽庵を建立した際〝和同開珎〟9枚が出土、将来塔を建てるべき土地と知ったと云う。中門右手の〝銅製の多宝塔〟が試みの塔らしい。故実によって昭和32(1957)年18世実道和尚によって100萬信徒の助縁を得て多宝塔が建立され厨子入りの愛染明王を本尊とされた。〝塔は、藤原・鎌倉・桃山建築様式を取り入れられた昭和名塔〟であるが、意外と知られていない。

   本尊の愛染明王(秘仏)は、〝厨子扉絵の十六尊と本尊が一体となって十七尊配列の愛染曼荼羅〟を構成している。愛染明王は、衆生が持つ〝愛欲貧染をそのまま浄菩提の極致に入らしめる佛(清らかな愛の成就を祈る佛)〟である。元は獅子閣裏茶室付近の愛染院の本尊であったが、文久3(1863)年南明寮出火類焼した時、助け出された厨子入佛である。堪海律師は、愛染法を大事な法と位置づけ、曼荼羅図・版木・版画・御守を献上するなど愛染明王の功徳に深く傾倒されておられる。

    日・祝日の休日1・16日本山縁日26日愛染縁日には開扉され、お立ち前愛染明王が拝観出来る。背面西向きの不動明王大絵(石川晴元画伯)も夏期には拝観できるかも。(10月からは1・16日の本山縁日のみ開扉)、1/1~3・4/1・5/1~10には幡が立てられる。多宝塔(上地蔵)の堂守さんに令和2年7月20日より、20年ぶりに物知りの若堂守さんが就任され、何でもご教示頂ける。(この10/15から寺方針で堂守さんは多宝塔・奥の院兼務を経て11/26より聖天(歓喜天)堂拝殿へ移動されてしまった)。

   愛染明王御縁の〝御札〟〝縁結び良縁お守り〟各五百圓・〝蝋燭祈祷〟月千圓・御祈祷〟五千圓・〝御膳料〟寸志(以上詰所)、〝献酒(白鶴・白鷹・菊正宗・月桂冠)〟二千圓・〝各御朱印〟〝三百圓(以上本堂前の庫裡寺務所)〟で受付されている。

【freelance鵤書林253 2020/7/20いっこう記】

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