しきしき焼とけんぺ焼 大和のスローフード3

 しきしき焼とは、小麦粉薄生地を炮烙(ほうらく:関東言葉の「ほうろく」とは言わない)で焼いたクレープ様餡巻きで春のおやつである。生地には、砂糖と塩を少々入れて練ったもので、餡は主に豌豆餡(えんどあん)

 えんど餡は作るのに大変な労力と砂糖を要す。餡はくるみ餅にも仕立てられる。名は目出度い式(会式:レンゾ)の「式々」からきていると考えられよう。

 千利休『利休百會記』に茶席菓子として「水で溶いた小麦粉を薄く焼き山椒味噌・芥子の実を入れて巻いた“麩の焼”」を頻繁に使ったとされる。正に大和の“しきしき焼”そのものであり、伝承料理研究家奥村彪生氏の言う似ても似付かぬ「お好み焼き」のルーツとするのは全くの誤りである。

 けんぺ焼は、素麺の竿かけの時に出る「ふし(曲った端)」を水でふやかし、捏ねて油の上で焼いたおやつ。味噌を塗り食されたクレープ状のもので、こちらは冬間水であったと言う。

【freelance鵤書林111 いっこう記】

0コメント

  • 1000 / 1000