會津八一の奈良大和路 歌碑と御朱印で巡る佛・法・僧の古都空間癒し旅本完成

 奈良大和路は佛教文化の礎が築かれた地であり、幾多の動乱や戦火をくぐり抜けた千年来の御佛が鎮座しておられる。會津八一(1881~1956)は、原郷古都の風景と共に滅びゆく美学を其処に見、当時の文化と先人の思いを重ね合わせ精力的に歌を詠み、心の安らぎを求めた最後の文人✤であった。

 今企画は八一の歌碑・縁の地を訪ね、碑に刻まれた独特の仮名字体歌を味わうと共に、佛・法・僧の寺院を参拝し御朱印を頂く巡礼である。奈良大和路をこよなく愛した、「會津八一(秋艸道人)」が没して本卦還の60年、歌が詠まれて110年余(第一歌集が世に出て95年)古き良き南京(南都:奈良)の古都空間~佛・法・僧~を八一碑の歌と御朱印で巡って頂きたいとの思いから上呈した。八一自身、「有縁の寺にみな自詠自筆歌碑を建て閑散の身となったら巡り歩いたらさぞ愉快だろう」 と語ったともいう。今日、ゆかりの地写真展・歌にのせた写真展も好評で、一般市民にも「會津八一」と言う人物が奈良県でもスポットがあたってきた。八一が取り持つ縁で奈良県と出身地新潟市は平成24年2月に至り「歴史・文化交流協定」を結んだ事も影響しているのだろう。筆者は、明治末期・大正から昭和にかけての法隆寺を巡る我が国の文化財保護・文化財研究の学史・研究史を学ぶ中で濃厚な大和の地域史に會津八一と言う人物が揺籃期の建築・美術史、歴史学の中に見えて来た。本書は會津八一の顕彰奈良大和路の歌碑・関連寺社の紹介にとどまらず、モデルコース縁のある近くの立ち寄り処解説八一略年表文献抄関連寺社歳時記等情報を設けた。地域創生の一助として活用されんことを願う次第である(「はしがき」より)。

✤文人:豊かな教養をもって詩書画に親しみ、自らもそれを作る人々。東亜細亜においては文化の重要な担い手であった。彼らは友人との語らいや名勝地への旅など、日々の感慨に応じて詩を詠み、墨を磨って筆をとり、その思いを多彩な作品へと昇華させて行った。特に硯・墨・筆・紙は『文房四寶』と呼ばれて重んじられた。文人の日々は「書・旅・歌詠み」の晴耕雨読生活。

 田中一廣(2018)『最後の文人“會津八一”の奈良大和路~歌碑と御朱印で巡る古都空間 佛・法・僧~』印刷中 鵤書林謹製本

【freelance鵤書林35 いっこう記】


奈良大和路ほんまもん観光相談センター

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