国宝東大門―
単層切妻三間一戸八脚門
西院伽藍の東向き東門である。ここに立てば、東院の四脚門(四足門)である西門へと続く石畳み参道の主軸が振れている事に気づくであろう。その振れこそ前身寺院斑鳩寺の軸であり、太子が造営した斑鳩宮の軸なのである。
門は8世紀に造られ、当初は南向きに南大門と併行して段上の築地のあった地点に建立を見た様で材木の番付風化がそれを物語り、築地が南方に移った時に現在地に移築した様だ。天平19年の『法隆寺伽藍縁起并流記資材帳』の「僧門三口」の一つと考えられている。
八脚門は、梁行の中心柱の前後に四本づつ八本の控え柱を持つ門で一番挌が高いのだが、この門は桁行三間なので中央一間が戸口(三間一戸)となり、大規模な門ではない颯爽(さっそう)とした姿を見せている。重層な入母屋造の中門とは姿・構成も異なり、おもおもしさが消えた軽快な門となる。まさしく飛鳥様式と天平様式の違いが読み取れる。
梁構は、ふくらみの無い丸い柱の上に三斗組で白壁に形を見せ、二重の虹梁の上に三つのすっきりした張りのある蛙*股が目に付く(二重虹梁蛙*股式、破風板・縣魚・桁隠は後補)。天井は無く垂木を見せた化粧屋根裏で、内外それぞれ山形になっている(三棟造)。
同時代のものとして、東大寺転害門があるが、雄大・重厚では無い優美な最古門である。
【freelance鵤書林197 いっこうY1記】
0コメント