大和の苺(イチゴ)と苺スイーツ (奈良大和特産品4)

   いま日本発、苺(イチゴ)と苺を使ったスイーツが訪日外国人や女子・ギャルに大人気である。奈良大和の特産品である苺について記録しておく。

   大和のくだもん(果実)特産品として往古より「グロ(畦畔)」で栽培されてきた御所柿が有名であるが、〝田畑輪換✤〟の作物として昭和初期よりの西瓜と並んで昭和30年頃より大阪南高安村の路地「恩智苺」に対抗して苺の施設園芸栽培が始まった。特に丹波市・櫟本や田原本周辺でビニールハウスによる電飾栽培に成功して、大市場大阪への商品作物「大和苺」として一世風靡した。その後は各地の産地に押され気味であったが、県農業試験場(現農林部農業研究開発センター)の全面的バックアップのもと新品種開発とハウス水耕栽培の達成で他県と市場に肩を並べている。また、それらを使ったスイーツも日進月歩の繁盛である。

   現代の主要地域は、生駒信貴山東麓平群町、葛城山東麓御所市・葛城市、奈良郊外帯解・五ケ山~天理市、田原本町周辺、明日香村・櫻井周辺であるが、何れにしても農家戸数は少ない✤。

   いちご王国を自称する栃木県には、〝とちおとめ・スカイべりー・とちひめ〟があり、佐賀・長崎県には〝さがほのか〟・福岡県博多には〝あまおう〟・兵庫県淡路には〝さちのか〟とよのかが君臨する。それを迎え撃つ奈良大和は、甘さと程よい酸味の〝あすかルビー〟濃厚な甘さの〝古都華(ことか)〟・桃の様な風味の〝真珠姫〟である。古都華は白色の〝古都華淡雪〟〝パールホワイト〟が誕生し、紅白苺は当地だけ。大粒化も年々進み、一粒づつ化粧箱に入る赤ん坊の手サイズの古都華は圧巻。奈良市のふるさと納税にも苺が返礼品であり県・市挙げて応援体制だ。

   県内の知り得る〝いちご(苺)スイーツ〟の幾つかを記すと、定番は〝苺大福〟。大抵の和菓子屋が手掛けるが、何といっても三条通上三条町白鳳旅館前の大佛いちご店は大粒で見た目味も良く抹茶やニッキ種もある専門出店。〝苺クリームサンド〟も多くのカフェ店が競って作り出したが、南郡山から餅飯殿商店街キラット奈良に出店のICHIBANYA FRUITSCafeはフルーツの種類も多い店。〝恋する苺パフェ〟映画天使のいる図書館の〝天使のパフェ〟が味わえるのが東寺田の郵便長柄館TegamiCafe(火水休み)。〝いちごクレープ&オムレット〟は帯解柴屋町のストロベリー工房(火休み)がオシャレ。〝ごろごろいちごタルト・ごろごろいちごシフォン〟が味わえる天理杣之内町の農家カフェけやき(火水休み)は、〝いちご畑〟など苺づくし。〝いちごジェラート〟では、何と言っても生駒東山菊美台のmamma(月休み)と橿原観音寺町のフォーム西川(月休み)をお薦めしておきたい。

 〝あすかルビーラスク〟として商品化は、奈良市雑司町の春日永楽、三条通油坂地方町の奈良にこだわったスイーツ専門店を自称する鹿野は、〝あかすかルビー苺バームクーヘンあすかルビーの苺たっぷりロール〟を販売している。しかのつの・しかの白ちゃん・古代米・大和茶と共に名産品になりつつある。近日オープン予定のROKUYAcafeで食せるかも。

田畑輪換(でんばたりんかん)とは:中世以降国中(くんなか:国の最中)の田畑で行われてきた〝作りまわし〟の農法。水利上の問題から合議で稲作に変えて3年周期に綿作を作り、裏作に麦・蚕豆(大和豆)を作るというもの。悲願吉野川分水の貫通により、園芸作物の栽培が可能となった。

県は、プレミアムセレクト制度を2016年に設け2種の苺に採用したが、天理永原苺出荷組合・葛城竹之内苺出荷組合は、〝さがほのか〟に思いを注いでいる。県の統計によると1988年の苺農家数は2,654戸であったものが、2017年現在403戸の1/7に減少して収穫量は、全国3位から16位である。

*アントシアニン色素成分が作られない〝白苺〟は遺伝子の突然変異品種で、20年かけ改良し山梨県三好アグリテックが〝初恋の香り〟を発表以来、現在全国9品種あると言う。栃木県でも6年の歳月手塩に掛けた「栃木iW1号」を2018年に入り公表している。読売新聞2018/4/29/日曜版の伝える処、全国生産日本一の栃木県真岡市(もおかし)では、年間80億の販売額をほこり、道の駅周辺で〝いちご飯・いちご飯バーガー・いちご飯チャーハン・いちご寿司・いちごカレー〟の苺を使った新名産品が味わえるらしい。

【freelance鵤書林139 いっこう記】

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