なら 辷り坂と五十二段と六道の辻 名所旧蹟11

 辷り坂(すべりさか)五十二段(ごじゅうにだん)六道の辻(ろくどうのつじ)とは、魚七分に水三分と言われた興福寺放生池「猿沢池」の三條通の坂を辷り坂と言う

 猿沢池から興福寺南大門に登る石段を五十二段と称す。菩薩修行の階位である十信十往十行十廻行十地の五十の修行と等覚の修学を経て妙覚の位に達する五十二の階位の数値を表すと言われているが、創設は江戸中頃で現階段は明治31年新造。

 階段の下の道路は6方向に分岐しているので、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・阿修羅道・人道・天道)の辻と呼ばれている。下は地獄・畜生など煩悩うずまく人間世界、上は佛世界と言う事だろうか。この3つの名も今は死語になりつつあり、奈良住人でも知る人もまた少ない。先人の土地への愛着物語である。

【freelance鵤書林56 いっこう記】

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