―寶山寺みくじ場の例
自然現象と共生してきた日本人は、何かにつけ往古より現在未来に対して吉凶を占う慣習が今も生きている。その表象が八百万の神佛信仰なのだが、即座に結果を知りたい願望が占い・御みくじである。各寺社においても御みくじが設置されている処も数多く、参拝して必ず手に取る人の列も絶えない。平日百数十から縁日には数百件の引き換えがあり、〝みくじ場〟を設けている生駒山寶山寺の例からお御籤の事を記す。
御籤の開祖は、比叡山横川にいた18代天台座主〝元三慈恵大師良源上人(912~985・別称は元三大師・角大師・厄除け大師)〟であるとし、延暦寺の元三大師堂が発祥の地とされている。その御籤は、五言四句が記され偈文100枚からなり元三大師百籤、佛籤と呼ばれている。 徳川家康のブレーン〝慈眼大師天海(1536?~1643)〟が広めたと云う。現在七割を占める流布の大吉・中吉・小吉・・の運試し要素の女子道社(山口県周南市)製品とは異なる。寶山寺御みくじは元三大師佛籤の流れを汲んでいる籤とされる。
寶山寺では今も一心徳栄講が運営し、弐台並んだ御籤箱には「大阪徳栄組 大正拾参年六月新調」と刻印されている。箱には一番~百番迄の札が収納され、大吉・小吉・吉・半吉・末吉・末小吉・凶の七段階となっている。六角形みくじ筒に入った竹ひごに記された漢数字には、大吉(17)に小吉(4)・吉(35)を合わせ吉方56本、半吉(5)・末吉(6)末小吉(3)と凶方は30本である。
引いて番号を伝えると札代100円と引き換えに札が頂ける。右から左に五言四句漢文と読み下しと共に漢文調の意味が現代文で記されている。戦後教育の現代人には難解な人々が増えているのは悲しい限りだが、意味を尋ねれば窓口で応えて頂けるのは救いである。吉方は、運気を切断しない様に長いものを縦折り半分して財布に入れてお守りとすれば良いし、凶方は松木の御籤括に結んでおけばお焚き上げ頂けるのである。
ちなみに最近、聖天さんの黄金色したミニ宝袋陶器入り御籤(¥500)も女子に密に人気である。
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