美術史の時期区分2 (南京観光豆知識2)

 貞観期(781~897):長岡京遷都を経て平安京(平安宮)に都が移り、平安時代の弘仁貞観期一世紀の彫刻や絵画

 国家保護佛教から離れ信仰宗教へと展開する。天台・真言の密教が広められ等身大の佛が造作、密教佛・図像美術であるが、神像なども登場し実質的な地味なものが多い。また、晩唐様式を学び奈良様を伝えたものは、重厚な形態で張りの強い感をもつのを特徴はとする。建築史では「平安前期」と呼称。

 藤原期(898~1184):醍醐帝延喜の御世から御堂関白道長に代表される様に藤原氏勢力隆盛期の時代。上皇・法王の名を以て政治を左右した院政期を含む公家文化期でもあった。前半密教様・奈良様が和様(=国風)された彫刻や絵画。後半には、和様化した定朝様や円派の完好な佛の阿弥陀信仰を巡る美術がある。建築でも大陸様式を完全消化し、日本化が進み寝殿造などを生み出す。建築史では「平安後期」と呼称。政治史・歴史学区分では平安期は平安時代前期と平安時代後期となる。或は、平安期を古代後期と呼称、奈良・古墳期を古代前期・それ以前の原始と分かつ。因みに考古学では、奈良朝以降すべて歴史時代と認識され、細分は政治史の区分を用いている。

 鎌倉期(1185~1333):源平の争乱を経て、中世封建時代の武家文化である。棟梁源氏政権の伝統にとらわれない、個性的で豪放な新しい美術が開花する。信仰面では、本地垂迹説に基づいた神佛混淆が庶民へ浸透、表現は佛や寺院にも表れる。

 南都では東大寺・興福寺を舞台に争乱復興の彫刻・絵画や寺院建築が登場する。京佛師の三条円派、六条・大宮の院派から分かれて、天平様の古典復古や宋彫刻を参考にした康慶・運慶・快慶に代表される巨匠慶派一門が大活躍し、写実的なものが表れ自由な形へ変化する。建築でも和様に加え、宋より将来の大工・石大工によって唐様・大佛様と様々に展開。

 鎌倉新様形は、室町以降(1334~)受け継がれて行くのである。鎌倉期は鎌倉時代であるが、歴史学では中世前期となる。

【freelance鵤書林71 いっこう記】

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