南京(奈良大和路)観光には、豆知識を知っているだけでも有意義で深みのある寺社巡りが出来るだろう。昨今は、歴史観を混同して記しているものも少なくないが、美術史・建築史の時期区分は政治史時代区分・歴史学時期区分とは言い回しだけではなく範囲が微妙に異にする事を認識して於かなければならない。
飛鳥期(538~671):6世紀中葉佛教伝来以来、飛鳥の諸宮・斑鳩聖徳太子時代の彫刻や絵画。朝鮮半島や六朝北魏・中部・隋の影響下が色濃い美術。彫刻の特徴は、自然形態と懸け離れた長身痩躯・左右対称に衣の端々まで整え、神秘性と純粋さを感じる。国号「倭」から「日本」が宣言され、「天皇」の称号が用いられる。大化以後六十余州の一つヤマトは「大倭國」と定まる(天平寶字以後「大和國」と記す)。
建築史・美術史では「飛鳥期・推古期」、政治史・歴史学区分では飛鳥時代と呼称するが、未だ古墳終末期の範疇である。
白鳳期(672~707):壬申の乱後、飛鳥浄御原宮を経て新益京(あらましのみやこ・藤原宮)時代の7世紀後半から元明帝平城遷都詔迄の天武・持統・文武朝期を指す。素朴で清新な作風が特徴。遣唐使派遣により、唐文化の影響を受けて佛像の体形・衣にも多様の理想的造形を見る。建築史では、奈良時代前期「奈良前期」と呼称する。
天平期(708~780):平城京(ならのみやこ・平城宮)時代、元明・元正・聖武・孝謙・淳仁・称徳・光仁の七朝期の彫刻や絵画で、初唐風の形を整えた洗練された造形を見る。東大寺大佛造営に代表される建築や美術とも言え、盛唐様式の正倉院宝物に見る絵画・工芸は、ゆったり伸々とした大らかさで明るい豊かさを称え、美術史上異彩を放つ。建築史では奈良時代後期の「奈良後期」と言う。
【freelance鵤書林70 いっこう記】
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