毎年8/15に高円山で行う点火行事で、奈良大文字保存会と(公財)奈良市観光協会主催の催し。昭和35年に観光行事創生として「京都・五山の送り火」の伝統儀式を真似て始まった。盆行事の大文字焼きは、全国の小京都と称する都市で催される処も見受けられる。「戦争で亡くなった人々の魂を慰める火で、すべての人々の慰霊と世界平和を祈る行事」と位置づけるので、我が国伝統の「送り火」本来の意味と少し異なる。
行事:現在、高円山への「大」の字の点火に先立ち、18時30頃から春日大社境内の飛火野で神職による慰霊祭と県下の30程の寺院僧侶の慰霊祭が続けて行われる。佛式慰霊祭では、明治維新より大東亜戦争終結までの奈良県出身の英霊29,243柱の名前を読み上げる転読供養を行う(県護国神社〔靖国末社〕でなく寺院関係者が行う錯誤の奈良県らしい)。20時から点火され大の字のシルエットが浮かぶと同時に、吹奏楽団による演奏会が始まる。お盆(旧暦を新暦にスライドさせた大和のお盆)の中日に炎々と燃え上がる焔で浄化し、今日の礎となった死者の魂の安寧と近未来の世界平和を祈るのである。
情報:当日行事保存継承の協賛として東大寺や西大寺・大安寺の長老揮毫の「大文字うちわ」が授与される。名勝旧興福寺大乗院庭園では、庭園文化館と(株)奈良ホテルが主催して「庭園から愛でる奈良大文字送り火」と称して夜間開放(18時~20時30分・夜間入園料300円)がある。
近年始まった昨日(8/5~14)までの奈良公園8つのエリア夜間イベント「一客一燈 なら燈花会」に変り、春日大社3000基の石燈籠・釣燈籠に火がはいる「中元万燈籠」(8/14・15日19時~21時30分)・初穂料500円回廊内特別拝観、東大寺大佛殿参道で2500基の燈籠を並べ供え大佛に諸霊供養を祈る「万燈供養会」(8/15日19時~22時・観相窓が開き大佛が顔を覗かせる、拝観料500円)がある。
いずれにしても一連の行事は寧楽(奈良)夏の風物詩となっている。
【freelance鵤書林5 いっこう記】
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